開発者が語る「一太郎の新ユーザーインターフェース」のヒミツ(全2回)一太郎2011 創

ユーザーインターフェースを全面的に見直した「一太郎2011 創」。なぜここまで大きく変えたのか、その理由を開発担当者が自らお話しします。
「一太郎2011 創」開発責任者 豊田光樹

第1回

新たな進化を開始した一太郎

長年にわたって開発を続けてきた一太郎は、「一太郎2010」で発売から25周年を迎えました。
私たち開発者にとって一太郎2010は、過去の集大成であり、一つの節目でした。
そして、これからの一太郎は、この節目を超えて、今までに蓄積した資産の価値を損なうことなく、かつ、過去に縛られることなく、未来に向かって新たな進化を開始します。

新生一太郎「創」

2011年、一太郎は、新たなる驚きと感動を求めて生まれ変わりました。新しい一太郎が目指すのは、新学期に新しいノートと鉛筆を手にした時のように、気分も新たに何か文章を書いてみたくなる、文章を書くのが楽しくなる、そんな「文章創造ツール」です。
そして新しい一太郎の創生の第一歩です。これが、一太郎に冠した「創(そう)」の一字に込める私たちの想いです。

理想的なユーザーインターフェースとは

一太郎は、長年にわたる機能の追加や拡張により、操作体系や画面構成が複雑化し、操作が煩わしくなったり、あるいは、せっかくの便利な機能が深いコマンド階層に隠れて、使ってもらえない、などの弊害も生じていました。
使いやすいワープロに求められるUI(ユーザーインターフェース)とは何だろう?
どうすれば、思考を中断しないで、文章を書くことに集中できるだろう?
このような観点から画面構成やデザインを徹底的に見直しました。

シンプルで自然な使い心地の新画面

まず、私たちは一太郎の画面を「机」に見立てました。暖かみのある木目調の机の中央に紙(編集領域)を置き、その両脇に、文章を書くための道具箱(ツールパレットやジャンプパレット)を配置しました。さらに、アイコンの図案や各部の配色など、隅々まで入念に洗練し、全体として、すっきりとして落ち着いた画面に仕上げました。


▲書斎机に見立て、背景には暖かみのある木目調を採用

机を「モノを書く台」としての機能性だけで捉えるなら、事務所のスチール机も、自宅の書斎机も同じです。しかし、安くて丈夫なスチール机は、効率最優先の職場に最適ですが、自宅の書斎やリビングには、あまり置きたくありませんよね?一太郎も、これまでは、普通のビジネスツール、すなわち、効率最優先のスチール机でしたが、「一太郎2011 創」は、「気持ちよさ」、「楽しさ」などの価値を付加した「書斎机」として、ワンランク上の文書創造環境に生まれ変わります。

オリジナルタイプとクラシックタイプ

私たちは、この生まれ変わった「一太郎2011 創」の新画面に、「オリジナルタイプ」という名前を付けました。これは、一太郎が「独自の」進化を遂げた画面であることを意味するとともに、これからの一太郎の新たな「原点」となることの宣言でもあります。


▲左にジャンプパレット、右にツールパレットを配したオリジナルタイプ画面

オリジナルタイプ画面では、思考を中断せず、文章を書くことに集中できるワープロを目指して、編集画面の構成や操作体系を全面的に見直しました。
私たちは、この新しい一太郎の操作感をすべてのお客様に体験していただきたいと考えていますが、使い慣れた(一太郎2010以前の)画面を引き続き使いたいという方のために、従来の画面(クラシックタイプ画面)への切り替え機能もご用意しています。
クラシックタイプ画面では、ツールパレットなど、一部、オリジナルタイプ画面専用の機能は利用できませんが、それ以外は、最新の「一太郎2011 創」としてお使いいただけます。
「一太郎2011 創」は、近年、急速に普及が進んでいるワイドモニタで、最大の効果を発揮するように設計されていますが、左右のパレット(道具箱)は、必要がないときは、片付けて(たたむor隠す)おけますので、スクエアモニタや、ノートPCなどの小さな画面でも、快適にご利用いただけます。


  • ▲オリジナルタイプ画面

  • ▲クラシックタイプ画面

ツールバーとコマンドバー

「一太郎2011 創」では、大きくて見やすいツールバー(※)を採用しました。
ツールバーには、ファイル操作や印刷など、フェーズやモードに依存しない一般的なコマンドが配置されます。


▲大きなアイコンが見やすいツールバー

また、従来、編集領域の下側にあったフェーズ切り替えボタンは、ツールバーと編集領域の間に新たに用意した「コマンドバー」と呼ぶ位置に移動しました。


▲コマンドバー

この変更は、シートの切り替えボタンとフェーズ切り替えボタンとを離すことで、押し間違えを防ぐのが最大の目的ですが、より一太郎らしく使えるよう、フェーズを意識して使っていただきたいという願いも込められています。さらに、コマンドバーには、フェーズ毎によく使われるボタンなどを配置してツールバーの機能を補完します。

※従来のものは「ツールボックス」という名称で区別されます。これらはデフォルトで非表示ですが、[表示-補助- ツールボックスの表示切り替え]から表示することもできます。
※新しいツールバーは、クラシックタイプ画面では使用できません。また、コマンドバーは、クラシックタイプ画面では使用できないか、あるいは、クラシックタイプ画面と機能が異なります。

ツールバーやコマンドバーが必要な理由


▲よく使われる機能をすぐに呼び出せるツールパレット(第2回で詳しく説明)

「一太郎2011 創」では、画面の右側に、「ツールパレット」と名付けた、新しい操作パネルを採用しました。このツールパレットは、よく使われる機能や便利な機能をすぐに呼び出せるように配置した「道具箱」です。
ツールパレットについては、次回、詳しく説明しますが、設計・実装の初期には、アイコンが小さく見づらいツールボックスの機能は、すべてツールパレットに置き換えられるのではないかと考えていました。しかし、プロトタイピングと操作性確認を進めるうちに、大きな問題があることがわかってきました。


▲ツールバーにはデフォルトで「印刷」などの基本的なコマンドを大きく見やすいアイコンで表示

実際に使ってみると、ファイルを開く、印刷する、フォントを替える、など、いくつかの操作で頻繁に行き詰まるのです。多くのアプリケーションで、ファイル操作(新規作成/開く/保存する)や印刷、クリップボード操作(コピー/切り取り/貼り付け)、さらにフォント変更などのコマンドがツールボックスに割り付けられています。
そしてそのような操作を行う際、無意識に画面の左上にあることを期待してしまうため、ツールパレットに収めてしまうと思考の中断を生んでしまうと考えました。

そこで、従来のツールボックスはデフォルトで非表示とする代わりに、大きくて見やすい「ツールバー」を導入しました。このツールバーには、ユーザーが無意識に「そこにあること」を期待するファイル操作、印刷、クリップボード操作などのコマンドを配置しました。

同様に、フォントの変更や、ボールド/イタリックなどの字種変更なども、習慣的に編集領域の上部にあることが期待されるコマンドですが、これをツールバーに配置すると、エディタフェーズやビューアフェーズなど、これらの設定に意味のない状況でも表示されてしまうことになります。
これを避けるため、ツールバーと編集領域の間に、「コマンドバー」という領域を用意し、フェーズやモード毎に必要性が異なるコマンドを配置することにしました。



▲アウトライン、提出確認などフェーズごとに変化するコマンドバー

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