モリサワのフォントはどのような方々に支持されているのでしょうか?
デザイン・出版・印刷・広告などの方々を中心にご利用いただいています。モリサワ自身は社歴的には80年以上ありますけれども、元々写真植字機を造っていたという経緯から、そのようなお客様が中心になっています。
モリサワフォントは現在何種類のフォントがあるのですか?
1ウェイト1書体と数えて、現在435書体です。一太郎へご提供しているのは6書体ですね。
1書体を作成するのにどのくらいの時間がかかっているのですか?
最短でも2〜3年はかかっていますね。デザイン設計では、デザイナーが1人で使用頻度の高い定型文字500文字をすべて手書きでデザインしています。熟練のデザイナーでも1人が1日に書けるのが平均20字程度なんです。開発書体の基礎の基礎を築くデザイン設計は一番重要な部分になるため、細部にまでこだわり抜きます。
500文字をすべて手書きとはすごいですね。
はい。他のメーカー様ではデジタルのプロセスを中心にされているところもありますが、私たちは1人のデザイナーが大量に書き上げたものを拡張していくやり方をしています。また、いくつも検査があるのですが、非常に重要なのが実際に文章を組んでみる組版テストです。どんな文字が後ろにくるかわからないという状況でバランスをちゃんと取れるかをしっかり見ていかないといけません。
ここまで手がかかってるとは想像もつきませんでした。今度は実際に文書作成を行う際の質問です。ウェイトを使い分けることとボールド(太字)処理をつけることの違いはどのようなものですか?
ボールド処理は、文字の輪郭線にあたる部分を太くする処理のため、白のスペースがつぶれてしまい、結果的に読みづらくなってしまうことがあるのです。とくにゴシック体の太いものは明朝体と違って横画も太いので、つぶれやすいといえます。文字の太さと使う大きさを考えあわせて、適した太さのフォントをそのまま使っていただくのをお薦めします。
なるほど。目立たせようとしていたつもりが実際は読みづらくなっていたのかもしれませんね。では最後に一太郎をお使いの方々に、こんなふうに使っていただきたい、というのはありますか?
なぜ書体を使い分けるかというのは「どんなメッセージを発したいか」だと思います。せっかくの文書が見にくく、マイナスのイメージにならないようにフォントを使い分けて、意思を正しく伝えるための素材としてお使いいただきたいと思っています。
今回はプロフェッショナルユースの書体をリーズナブルにお使いいただけるチャンスですので、ぜひともご利用ください。